Seminar, 2013

 

大塚萌以「日本人としてのアイデンティテイを持った国際人の育成~初等教育におけるシティズンシップ授業の分析を通して~」

本論文では、「シティズンシップ」を構築するにあたって必要な市民性を、自国で生きる「市民」(national citizenship)と世界で生きる「市民」(world citizenship)という二つの観点からカテゴライズし、その二者が共有出来る「国際人」を育成するための教育の考え方を、学校教育全体を通して子どもたちに伝えていくにはどうしたらよいかということを分析した。

序章 シティズンシップとは何かを述べ、これからの日本に必要な教育であることを考察した。

第一章 national citizenshipとworld citizenshipとの比較をした。

第二章 日本、英国の指導案を比較し、各々の教育にどうシティズンシップが絡んでいるかを分析した。

第三章 シティズンシップの考え方を、日本の教育に盛り込むに当たっての課題を、授業・教育制度・教育環境や国民性の観点から分析し、挙げた。

第四章 シティズンシップを取り入れるに当たって、必要な要素や仕掛けを述べ、未来への展望とした。

 

岩垣朝子「少年非行の原因と動向―歴史的変遷の分析を通して―」

本研究は、少年非行が時代の流れとともに、どのように変化したのかを明らかにしようと試みた。研究方法は、主に国の調査報告や、書籍、web等に掲載されている文献を中心に整理・分析した。

序章ではテーマ設定の理由を説明した。

 第1に非行の定義を整理した。

 第2に私たちの少年非行へのイメージとメディアによる影響を分析した。

 第3に少年非行の歴史的変遷と種類を整理した。

    第4に非行に走る要因をまとめた。

 

小川英里「子どもの学びを阻害する児童労働~フィリピンにおける学校教育の諸課題~」

本卒論では、子どもの学びを阻害する児童労働について情報を収集・分析を行った。そこで、フィリピンの学校教育に焦点を置き、学校教育の問題点を明らかにし、日本の学校教育と児童労働への示唆について明らかとした。

 第1章「教育の必要性」では、教育の定義を述べ、世界から見る教育・フィリピンの学校教育について考察した。

 第2章「フィリピンの学校教育」では、フィリピンの学校教育の現状を知るためには、フィリピンの歴史を“知る”ということが大切だということ、また従来の欧米中心史観や日本中心史観から見ていた世界や時代から「日本」というものがまた違った角度から見えてくるということを論じた。さらに、フィリピンの学校教育制度について論じ、英語教育に関して、フィリピン在住のMaricel Braza Glaraga氏にインタビューを行った。その答えを元に、フィリピンの英語教育について考察した。

 第3章「子どもの学びを阻害する要因」では、フィリピンの富裕層と貧困層について考察し、貧富の差が激しい国であるということを論じた。そして、貧富の差が激しいということから起こる“児童労働”について考察した。

 第4章「子どもの教育を保証する手立て」では、“個々人による改善策”・“政府による対策”・“日本の学校教育と児童労働への示唆”のそれぞれから考察した。児童労働は、子どもの健康だけではなく人的資本の開発を阻害する1つの原因である。フィリピンの都市部と農村部では「貧富の差」が激しいため、それを埋めていくためには都市部ばかりに経済活動を活性化させるのではなく、農村部を含め国全体に目を向けて、経済活動を活性化していかなければいけないということが本研究において明らかとなった。

 

大山 圭祐「世界に売り出せるアイドルのコンセプト—「アイドル像」の史的変遷とその経営戦略の分析を通してー」

 本論文ではなぜここまでアイドルの深みにはまるのか、なぜここまでの人間を魅了できるのか、今後アイドルはどうなっていくのかを様々な比較や歴史の流れをもとに解いていき、今後流行るアイドルを予想し、検証した。

 調査方法は、第1に文献調査を行い、現在及び過去のアイドルの形や経営戦略を調査した。第2に、海外と日本の音楽性や戦略の文献を読み、それらの違いや方向性を調査した。第3に、今後世界的に売り出すことのできるアイドルの仮説を設定し、アンケート調査を通して仮説を検証した。その結果、以下3点を明らかにした。

 第1にアイドルは、結果もそうだが、過程が大事である。過程を見ることに大きな関心が寄せられることがわかった。成長過程をみたいのだ。第2にアイドルを売り出す戦略の基盤は世界で共通しているということである。どこの国でも、ファンが求めているものの基本は変わらない。第3ファン目線で考えることである。ファンがどうしたいか。ファンが何を求めているのかを考えることが大切である。アンケートの結果も偏りのあるものが多く、求めているものがはっきりしていることもわかった。