山口 忠(岐阜大学工学部准教授)

岐阜県出身。岐阜大学で情報の分野について学んだ後に中部大学・助手、岐阜大学・講師、助教授を経て、

現在、准教授。

日々、三次元有限要素法の開発等を研究している。


――まず最初になんですけど、20歳の頃はどこでどんなことをしていましたか。

僕はまだ学生でした。大学生。僕岐大出身でね、君らと同じように工学部で勉強していました。

 

――その頃に将来のことについてどのくらい考えていたんですか。

なんかちょっと面白いことやりたいなって思ってたねー。

 

――コンピューター系でですか。

コンピューター、、、あっ、僕、ゲームのプログラマーになりたかったの。大学の先生じゃなくてゲームのプログラマーで、あっと驚くゲームを作りたかったね。

 

――そうなんですね。では、今の分野に興味を持ったきっかけはそういうゲームとかが始まりですか。

いや、大学のこの研究室に入ってから、あー面白いなーって思ってね。学生の時に病気したの。椎間板ヘルニアっていう病気をね。そこで、腰にコルセット巻いてたからね、就職活動もつらいなーって思ってて。大学院に進んで、ドクターコースができたんで、ドクターコースに行ってるうちにこの道に進んだんだよね。まあでも、研究室に入ったからかな、この道に進みたいなと思ったのは。

 

――そうだったんですね。では二十歳の頃の悩みとかは、、、

あれやね、やっぱさっきの病気になったことやね。もう寝ても覚めても腰が痛くてね、入院したしね。まあこの後どうなるんかなっていう悩みがあったね。克服は、まあ色んな友達がね、頑張れよ頑張れよって言ってくれたしね、まあなんかね、かっこいいこと言えばよ、俺がまだ歩かないかんって言うなら、腰治れよとね、怒りにも似たね思いでね、なんというか祈ってた感じかな。

 

――入院中は学校には来れたんですか。

いやいや、もう入院中は来れへんよ、入院中やからね!(笑)

 

――そうですね(笑)

うん、2ヶ月くらい入院してたかな。

 

――では後からその間の部分を自分で勉強して取り戻したという感じですか。

そう。まあちょうどね、試験期間中やったからね、もう入院するからあとで追試させてってね、先生方にもう全員回ったね。

 

――そうなんですね。大変でしたね20歳の頃にやっておくべきこととかはありますか。

うーん、そうやねーまあやっぱ勉強を頑張ってください。ほんとはね、たくさん色んな事を勉強してほしい。

 

――1つのことを深くし続けるよりも色んな事を。

うん、そうそう。自分の可能性ってどこにあるのか分からへんでね、まあ深くやることも大切だけどね。専門は深くやけど、他のことにも目を向けるとたぶんいいんじゃないかなーとね、思います。

 

――逆にこういうことはしないほうがいいみたいなこともありますか。

うーん、なんやろな難しいな(笑)まあでも、人と喧嘩せんほうがええわな。仲良く仲良く。人を蹴落としてまでなんかしようっていうのはよくないなーとは思うね。あとまあ20歳とは関係なしに僕が気を付けていたのは、集合場所には5分前には着く、小学生みたいなことやけど(笑)あとは元気よく挨拶をする。この二つは大事やったね。今でもそうやもんね。どこ行ってもそう、今でも人よりも早く行ってるもんでさ、準備しとる人にさ、先生ちょっと早すぎますよとか言われて、すみませーん。みたいなことが(笑)

 

――そうなんですね(笑)今20歳の頃の自分に会えるとしたらどんなことを言ってやりたいですか。

むずかしいなー、あんまり言ったら今の自分と変わってまうでなー(笑)漫画好きやでさ、SFものでよくあるやん、過去の自分に何か教えたら今の自分が存在しなくなるみたいな(笑)あの子に振られるよとかそんな話をしてもダメやでなー(笑)まあでも、未来の自分じゃなくて知らないおじさんとして話しかけに行くなら、よく勉強をしておきって言うかな。あとはー、あのほんとね、もう30年ぐらい前はね、ほら携帯がないんだよ。スマホどころかもう携帯を一般人は持ってないし、パソコンもね、ビジネスマンとかしか持ってなくて一般家庭にあんまりなかった時代やでね、こんな時代になるよーっていう話をね。まあ伝えてあげてもどうしようもないけどな(笑)あかんSFの漫画チックに考えてしまうわ(笑)まあでも自分じゃなくて一般的にも、しっかり勉強しーやーって言うかな。自分の目標を持って、何がしたいのかよく考えてねって。やっとるわって言われそうやけどね、その頃の自分に(笑)

 

――いきなり言ったらそうなりそうですね(笑)20歳の頃に何か活動をしていたりはしましたか。

部活とかそういうことはしてなかったなー。あっ、でもちょっと面白いことをしたのは、違う大学に遊びに行った。

 

――授業を受けに行ったんですか。

いや授業は受けてないんだけど、私立の大学だと夏休みの期間がずれてるやん、そうすると、僕は夏休みでも、遊びに行った相手の子は夏休みじゃないとかあってね。その期間を狙って別のとこに行って一人暮らしってどうやってやっとるのさーとか聞いたりね、授業は受けに行ったら当てられたときにお前誰?ってなると困るんで受けれんかったけど、まあ学食ぐらいは食えたりとかしてね、友達のところをね、夏休みは渡り歩いてた。大学の雰囲気が違うんやよね。この学校は飯が美味いなーとかね、緑が多いなーとかさ。まあ授業時間中にね、学生が外を歩いてるっていうことでドキドキしながらね。

 

――楽しそうですね。二十歳の頃に関係なく、今までの人生で何か挫折とかはありましたか。

うーん、やっぱり何度も出てくるけども病気のときかな。あの時はもう生きとってもあかんと思ったもんね。気絶するように寝て、起きて朝になったかなって思っても、寝たときから5分しか経ってなかったりとかしてね。なんとか一晩過ぎたかなって思っても5分しか経ってないっていうね。

 

――痛さで起きてしまうんですか。

そうそう。もうあれは辛かったね。さっきね、友達が来てくれて元気出させてくれたっていう話をしたけれども、来た友達を鬱陶しく思ってしまうときもあってね。今からよくなるっていう時じゃなくて、これから良くなるか分からないときに来てもね、お見舞いに来てくれた人を鬱陶しく感じるぐらいに落ち込んでたね。あんなに辛かったのは後にも先にもないかな。手術が怖くてね、背中を切るもんでさ。それで手術はしたくないって粘っててね。だけど僕の友達の友達みたいな人が医者でさ、技術も進歩しとるから医者も信じたってよと。自然治癒力に任すのもいいけどやっぱ医者も信じてほしいわって言われてさ。それでその通りやなって思った頃にまた腰が痛くなってね、もうあかん、もうこれ以上どうしようもないと思って手術を頼んだっていう感じやったな

 

――そんなことがあったんですね。最後に、今の岐大生に向けて何か言いたいことはありますか。

やっぱそうやねー、色んな事を勉強してほしいかな。GPAを気にして授業を減らすとね、せっかく勉強する機会があるのにそれをわざわざ減らす必要はあるのかなと。でもまあGPAが悪いといい研究室に入れへんしね。バランスが難しいんやよなー。だからGPAを保ちつつ勉強するのはえらいよな、えらいけどねやっぱ色んな事を知っておきたいね。まあ役に立たないことも多いけどね。時代とともに変わっていくからね。時代とともに変わらない勉強と時代とともに変わっていく最先端の勉強とあってね。最先端をいく勉強は今学んでることが10年後にはもう意味がなかったりとかはよくあるね。

 

――では20歳の頃とかの年齢は関係なく、日々勉強していかないといけないんですね。

うん、そうだね。目標を持って生きるとね、時間って短いからそれを大切にしないとね。人生何十年も生きとったって、もっと時間がほしいなーって思うし。なんかこれっといった目標を持ってね、目標は変えてもいいからね、やっぱ俺にはこれは向かんなって思ったら変えてね、枝葉に進んでいけばいいし。そういったことを今の子に言いたいね。今の子は一個失敗すると落ち込んでねもう俺の人生終わりやーみたいなね、いやそんなことはないよっていうね、そんなもったいない生き方をしたらいかんてね、言いたいかな。僕ももともと色んな事を目指してたからね。大工になりたいなとか。

 

――僕も小学生の頃に図工が好きっていう理由だけで大工になりたいと思ったことがありました。

そやろ。うんうん。医者にもなりたいと思ったしね、漫画家にもなりたいと思ったこともあったし。落語家になりたかった時もあったね。

 

――落語家ですか。

うん、落語が好きでね、じゅげむじゅげむとか。色んな事が好きでね、なりたいと思うことがたくさんあったね。あといつも学生に言うのは、授業1コマがいくらぐらいするか知ってる?

 

――知らないです。

1コマでね、千円ぐらいするんだと思うんだけどね、そうするとさ、毎日映画観えるよね。けどわざわざそれをやめて、大学に来てるわけだからその分勉強しないといかんのやよ。この授業はどんな価値を持っているかなとかね。そういうことを考えながら勉強していったほうがいいと思うね。30年違うから今のほうが高くなってるけど、僕らの時代は1コマ500円ぐらいやったかな。そうするとね、この授業は500円の価値はあるのかなってね、批判的にじゃなくてそのぐらいの価値を見出さないといけないなってね、自分でね、今日はこんな式を知ったとかこんなことを知れたからよかったかなーとかね、そんな生き方をしとったね。コストパフォーマンスを求めてました。

 

――すごいですね。僕も一回一回の授業に対してもっと自分から学びに行く姿勢を持って頑張っていきたいです。今日は貴重なお話を色々とありがとうございました。

 

ありがとうございました。